NPO法人の会計について勉強を始めました。その2「財産目録と『財務諸表の注記』」

今回は、財務諸表4つのうちの「財産目録」および「財務諸表の注記」についてまとめます。
(「貸借対照表」および「活動計算書」については、前回の記事でまとめました)

(前回)

財産目録[1]


財産目録は、貸借対照表と基本的に同じものである。
貸借対照表とは別に実地棚卸(現物を点検すること)をして作成するのが本来の財産目録である(が、NPO法では財産目録は会計簿に基づいて作成すると定められている)
貸借対照表と違って数字に表せないが価値のあるモノを資産として計上できることや、
法人税の申告の際に{{E1}}の代わりとして提出するケースがあることなどから、
貸借対照表の詳細版」と説明する人も多い。

財務諸表の注記[2][3]

一昔前、「活動計算書」の前身として「収支計算書」というものがあった。
収支計算書では、「出ていったお金」や「入ってきたお金」を事業ごとに報告することが主だった。
しかし、これでは勘定科目毎の内訳が分からないという問題があった。
そのため一部の法人では「出ていったお金」や「入ってきたお金」を事業×勘定科目ごとに報告する例もあったが、そうすると今度は情報量が多すぎて報告内容が分かりにくくなるという問題があった。
そこで活動計算書では「出ていったお金」や「入ってきたお金」を勘定科目毎に報告し、事業毎の内訳を財務諸表の注記に書くよう定められた。

NPO法人会計基準において、財務諸表の注記へ記載すべきとされる10項目は次の表の通り。

#項目省略可能か説明
1重要な会計方針いいえ基本的には財務諸表の作成は、NPO法人会計基準(20XX 年 M 月 D 日 NPO法人会計基準協議会)によっています。と一言書けばよい。
但し、固定資産がある場合は、その減価償却の方法について書く必要がある。
また施設の提供等の物的サービスを受けた場合で、これを活動計算書に計上したい場合は、
1. この項目にまずその旨を記述し、
2. 「施設の提供等の物的サービスの受入の内訳」の項目に評価額とその客観的な算定方法を記述し、
3. 活動計算書に計上の際には経常費用受取寄付金の科目に記載する。
また、ボランティアによる役務の提供を受けた場合で、これを活動計算書に計上したい場合も同様に処理する。
さらには、消費税を納税している場合は、その会計処理方法についても記載する。
2重要な会計方針変更の旨及びその理由と、当該変更による影響額いいえ
3事業別損益の状況はい損益のうち、収益を省略する場合もある
4施設の提供等の物的サービスの受け入れの内訳はい
5ボランティアによる役務の提供の受け入れの内訳はい
6使途等が制約された寄付等の内訳いいえ公益法人等では、「お約束付きの寄付」を得ることがある。
これを通常通り収益として計上すると、「正味財産が増えたにも関わらず、法人が自身の意思によって使えるお金が増えていない」という、わけの分からない事態が発生する。
そのため、普通の公益法人では、正味財産を一般正味財産と指定正味財産に分けることによりこの問題を回避している。
しかし、NPO法人は身近な法人格であるということで、会計処理を複雑にすることを嫌う節がある。
そのためNPO法人だけ特別に、正味財産を一般正味財産と指定正味財産に分けなくてよいとされていて、その代わり、この項目にて注記することとなっている。
7固定資産の増減内訳いいえ(難しいので次回解説)
8借入金の増減内訳いいえ(難しいので次回解説)
9役員及びその近親者との取引の内容いいえ「変なことにお金を使っていないよ」ということを示すため。
10その他NPO法人の試算、負債及び正味財産の状態並びに正味財産の増減の状況を明らかにするために必要な事項いいえ

(次回)

次回は、財務諸表の注記の項目「固定資産の増減内訳」と「借入金の増減内訳」についてまとめた記事です。

(2022年10月21日 18:00~公開)

NPO法人の会計について勉強を始めました。その3「固定資産と借入金を何故注記するの?」
今回は、財務諸表の注記の項目「固定資産の増減内訳」と「借入金の増減内訳」についてまとめます。(前回)先に結論財産諸表の注記に「固定資産の増減内訳」と「借入金の増減内訳」の項目が必要である理由を一言で言えば、それは次の通りです。なぜ財務諸表に

(参考)

[1]https://www.youtube.com/watch?v=ZW391wQ_RJk&t=75s
[2]https://www.youtube.com/watch?v=QCSUF4WuDAk
[3]https://www.saitamaken-npo.net/html/katsudoukeisansyotoha%21.pdf

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