NPO法人の会計について勉強を始めました。その5「お小遣い帳を複式簿記にグレードアップしよう (2/3) 」

今回は、前回に引き続き、「お小遣い帳」を複式簿記にグレードアップする手順についてまとめます。
複式簿記を付けられるようになれば、活動計算書や貸借対照表を楽に作れるようになります。
第1章から第8章まであり、大変長くなってしまったので、3回に分けることにしました。
今回はそのうち2回目です。

(前回)

第1章~第3章は前回まとめました。

次の表は、前回使った現金出納帳の再掲です。

表3. 現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付理由
 
11月19日消耗品購入(文具)500
11月20日参加費受け取り(3名分)3,000
11月28日会場費支払い800
12月1日預金から引き出し10,000
12月2日謝礼支払い8,000
12月8日消耗品購入(コピー用紙)500
 
 
合計13,0009,800
 残高
650
150
3,150
2,350
12,350
4,350
3,850
 
 

収支差額: 3,200円
前期からの繰延金: 650円
次期への繰延金: 3,850円

4. 「封筒」のお金も管理する

さて、お金があるのは貯金箱だけではありません。謝金を支払うときには、「封筒」にお金を入れて渡しますし、参加費を頂くときは、「封筒」に入ったお金を頂きます。
(消耗品を買うときは封筒ではなくてお財布かもしれませんが、ここでは封筒と考えましょう。)
封筒は、お小遣いを使ったり、手に入れたりするために使う、お金の一時的な場所です。
貯金箱を「バス停や駅や空港」、お金を旅客に例えるなら、封筒はバスや電車や飛行機と言えるでしょう。

表4. 封筒
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付理由
11月19日消耗品購入(文具)500
11月20日参加費受け取り(3名分)3,000
11月28日会場費支払い800
12月1日預金から引き出し(無し※)10,000
12月2日謝礼支払い8,000(無し)
12月8日消耗品購入(コピー用紙)500(無し)
 
 
 
合計9,800(貯金箱の支出合計と一致)13,000(貯金箱の収入合計と一致)

封入 ー 取出: ー3,200

※預金から引き出したお金は、現金貯金箱に入れる時には封筒から取り出します。
なので封入ではなく取出と考えます。
(封筒へ封入するのは、貯金箱に入れる時ではなく、銀行から引き出すときです。今は現金貯金箱と封筒の関係を考えているので、銀行のことは考えません。よって取出と考えるのは誤りです)

5. 封筒と貯金箱を横に並べる

第3章では貯金箱の出納帳(表3)を作り、第4章では封筒の封入・取出の履歴(表4)を作りました。
これら(表3と表4)を、横に並べると、次のようになります。

表5. 封筒および現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付 理由 封筒 貯金箱
封入 取出 収入 支出
11月19日 消耗品購入(文具) 500 500
11月20日 参加費受け取り(3名分) 3000 3000
11月28日 会場費支払い 800 800
12月1日 預金から引き出し 10000 10000
12月2日 謝礼支払い 8000 8000
12月8日 消耗品購入(コピー用紙) 500 500
すると、金額を表す4列が、2列目と3列目を境とした鏡写し(縦線対称)になっていることが分かると思います。
これは、貯金箱からお金を出せば同じ金額を封筒に入れるし、逆に封筒からお金を出せば同じ金額を貯金箱に入れるからです。

6. お金をグループ分けする

5章までで、かなり複式簿記に近づいてきました。
ところで、複式簿記にこだわる主な理由は、活動計算書や貸借対照表を楽に作ることができるという点にあります。
活動計算書や貸借対照表を見るとわかりますが、お金は「現金」、「預金」、「売上」、「人件費」などのようにグループ分けして記載されています。
なので、複式簿記でもこういったグループ分けを行います。
グループ分けには2つの方法があります。
一つ目は「現金」、「預金」のように、お金のによるグループ分け、
二つ目は「消耗品費」、「売上」、「賃借料」、「支払手数料」のように、お金の理由によるグループ分けです。

さて、上記の通り複式簿記ではお金の理由を両方考えなければならないわけですが、
活動計算書や貸借対照表を楽に作るためには、理由を考える際に一定のルールが必要です。
そのルールは、たった2つです。
  • 封筒や貯金箱から出ていくお金はを確認する。
  • 封筒や貯金箱へ入ってくるお金は理由を確認する。
例えば、「参加費という理由で、現金封筒を受け取って、3,000円の収入があった」場合、
封筒から出て行ったお金の形現金、貯金箱に入ってきたお金の理由参加費であるため、
「封筒から現金3,000円を取り出し、貯金箱に参加費3,000円を入れました」と書き記します。

また、逆に「会場費という理由で、現金を封筒に入れて、800円を支払った」場合、
貯金箱から出て行ったお金の形現金で、封筒に入ってきたお金の理由会場費ですから、
「貯金箱から現金800円を取り出し、封筒に会場費800円を入れました」と書き記します。


つまり、出て行ったお金の形入ってきたお金の理由を管理すればいいわけです。

これを表5に対して書き記すと、表6のようになります。

表6. 封筒および現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付 説明 封筒 貯金箱
封入・理由 取出・形 収入・理由 支出・形
11月19日 消耗品購入(文具) 消耗品費
500
現金
500
11月20日 参加費受け取り(3名分) 現金
3000
売上
3000
11月28日 会場費支払い 賃借料
800
現金
800
12月1日 預金から引き出し 現金
10000
預金
10000
12月2日 謝礼支払い 支払手数料
8000
現金
8000
12月8日 消耗品購入(コピー用紙) 消耗品費
500
現金
500
表6をみると、「貯金箱」側に現金が書かれているときは団体の持つ現金が減っていて、「封筒」側に現金が書かれているときは、団体の持つ現金が増えていることが分かると思います。
これは、貯金箱からお金を取り出すときは、そのお金を封筒に入れて、他人に渡すときですから、その分団体のお金が減ってしまうからです。
逆に封筒からお金を取り出せるということは、他人からお金の入った封筒を受け取ったということなので、その分のお金が団体の手元に増えるというわけです。

預金引き出し(12月1日)の件も同様です。
預金の封筒から現金10,000円を取り出したので、「封筒」側に「(封筒から)出て行ったお金の形=現金: 10,000」と書きます。これで、団体が持つ現金が増えました。
そしてそれを貯金箱に入れる際に、「貯金箱」側に「(貯金箱に)入ってきたお金の理由=預金: 10,000」を書きました。

(次回)

次回は、第7章から第8章までを公開し、複式簿記を完成させます!
(2022年10月27日 18:00~公開)

NPO法人の会計について勉強を始めました。その6「お小遣い帳を複式簿記にグレードアップしよう (3/3) 」
今回は、「お小遣い帳」を複式簿記にグレードアップする手順についてまとめます。 複式簿記を付けられるようになれば、活動計算書や貸借対照表を楽に作れるようになります

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