NPO法人の会計について勉強を始めました。その6「お小遣い帳を複式簿記にグレードアップしよう (3/3) 」

今回は、前回に引き続き、「お小遣い帳」を複式簿記にグレードアップする手順についてまとめます。
複式簿記を付けられるようになれば、活動計算書や貸借対照表を楽に作れるようになります。
第1章から第8章まであり、大変長くなってしまったので、3回に分けることにしました。
今回はそのうちの最終回です。

(前回までのおさらい)

前々回は第1章~第3章をやりました。

前回は第4章から第6章までやりました。

NPO法人の会計について勉強を始めました。その5「お小遣い帳を複式簿記にグレードアップしよう (2/3) 」
今回は、「お小遣い帳」を複式簿記にグレードアップする手順についてまとめます。 複式簿記を付けられるようになれば、活動計算書や貸借対照表を楽に作れるようになります

前々回で、表3のような貯金箱の現金出納帳を考えました。

表3. 現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付理由
 
11月19日消耗品購入(文具)500
11月20日参加費受け取り(3名分)3,000
11月28日会場費支払い800
12月1日預金から引き出し10,000
12月2日謝礼支払い8,000
12月8日消耗品購入(コピー用紙)500
 
 
合計13,0009,800
 残高
650
150
3,150
2,350
12,350
4,350
3,850
 
 

収支差額: 3,200円
前期からの繰延金: 650円
次期への繰延金: 3,850円

これに対して前回は、「封筒」の考え方を導入して、まずは表5のように「鏡写し」にしました。

表5. 封筒および現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付 理由 封筒 貯金箱
封入 取出 収入 支出
11月19日 消耗品購入(文具) 500 500
11月20日 参加費受け取り(3名分) 3000 3000
11月28日 会場費支払い 800 800
12月1日 預金から引き出し 10000 10000
12月2日 謝礼支払い 8000 8000
12月8日 消耗品購入(コピー用紙) 500 500

そして次に、お金をグループ分けしました。
「取出」や「支出」の際にはお金の「形」によるグループ分け、
「封入」や「収入」の際にはお金の「理由」によるグループ分けを行い、
表6のようになりました。

表6. 封筒および現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付 説明 封筒 貯金箱
封入・理由 取出・形 収入・理由 支出・形
11月19日 消耗品購入(文具) 消耗品費
500
現金
500
11月20日 参加費受け取り(3名分) 現金
3000
売上
3000
11月28日 会場費支払い 賃借料
800
現金
800
12月1日 預金から引き出し 現金
10000
預金
10000
12月2日 謝礼支払い 支払手数料
8000
現金
8000
12月8日 消耗品購入(コピー用紙) 消耗品費
500
現金
500
預金引き出し(12月1日)の件について改めてご説明します。
預金の封筒から現金10,000円を取り出したので、「封筒」側に「(封筒から)出て行ったお金の形=現金: 10,000」と書きます。そしてそれを貯金箱に入れる際に、「貯金箱」側に「(貯金箱に)入ってきたお金の理由=預金: 10,000」を書きました。・・・①

7. 収支の情報を消す

7-1. 貯金箱は複数ある

今まで、貯金箱の中身が現金である前提で話を進めていました。
しかし、預金のことも、「銀行に預けてある貯金箱」と考えることができそうです。
ここで一度、「預金の貯金箱」を考えてみてもいいでしょう。
今回、預金について確認したところ、表7-1のようになっていたとします。

表7-1. 封筒および預金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付 説明 封筒 貯金箱
封入・理由 取出・形 収入・理由 支出・形
12月1日 現金化 現金
10000
預金
10000
12月3日 助成金 預金
5000
受取寄付金
5000
12月7日 消耗品購入(消しゴム) 消耗品費
100
預金
100

この場合、12月1日には、貯金箱から預金10,000円を取り出したことになりますから、「貯金箱」側に「(貯金箱から)出て行ったお金の形=預金: 10,000」と書きます。
そしてそれを封筒に入れる際に、「封筒」側に「(封筒に)入ってきたお金の理由=現金: 10,000」と書きます。・・・②

7-2. 収支の情報を消す

さて、①(「前回までのおさらい」)と②(第7章-1)を比較してください。
どちらも、封筒側に「現金」、貯金箱側に「預金」と書かれている点が共通していますが、現金と預金のどちらが入ってくる(出ていく)かが異なります。
これは、現金と預金のどちらが入ってくる(出ていく)かの情報が、特定の貯金箱からみた主観的な情報に過ぎないからです。
(その反面、封筒側に「現金」、貯金箱側に「預金」と書かれているというのは、つまるところお金が振り替えられる前(預金)と後(現金)の形を言っているだけですから、どの貯金箱から見ても同じことで、客観的な情報です)
なので、表6や表7-1から現金と預金のどちらが入ってくる(出ていく)かの情報を取り除いてしまえばこの2つの表をくっつけることができそうです。
それを行ったのが表7-2-1です。

表7-2-1. 封筒および現金・預金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付 説明 封筒 貯金箱
入れた理由/出した形 金額 出した形/入れた理由 金額
11月19日 消耗品購入(文具) 消耗品費 500 現金 500
11月20日 参加費受け取り(3名分) 現金 3000 売上 3000
11月28日 会場費支払い 賃借料 800 現金 800
12月1日 預金から引き出し 現金 10000 預金 10000
12月2日 謝礼支払い 支払手数料 8000 現金 8000
12月3日 助成金 預金 5000 受取寄付金 5000
12月7日 消耗品購入(消しゴム) 消耗品費 100 預金 100
12月8日 消耗品購入(コピー用紙) 消耗品費 500 現金 500

ちなみに、表7-2-1に対して、わかりやすさのために「緑取引」、「赤取引」、「黒取引」に分けてみたのが表7-2-2です。(これらの単語はこの記事で勝手に作った単語です)

  • 緑取引: (他所からもらった)封筒からお金を出して、そのお金を貯金箱に入れる取引。団体にお金が入ってくる。
  • 赤取引: 貯金箱からお金を出して、そのお金を封筒に入れ(て他所に送)る取引。団体からお金が出ていく。
  • 黒取引: 貯金箱から別の貯金箱にお金を移す取引。団体のお金は増えも減りもしない。

表7-2-2. 封筒および現金・預金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付 説明 封筒 貯金箱
入れた理由出した形 金額 出した形入れた理由 金額
11月19日 消耗品購入(文具) 消耗品費 500 現金 500
11月20日 参加費受け取り(3名分) 現金 3000 売上 3000
11月28日 会場費支払い 賃借料 800 現金 800
12月1日 預金から引き出し 現金 10000 預金 10000
12月2日 謝礼支払い 支払手数料 8000 現金 8000
12月3日 助成金 預金 5000 受取寄付金 5000
12月7日 消耗品購入(消しゴム) 消耗品費 100 預金 100
12月8日 消耗品購入(コピー用紙) 消耗品費 500 現金 500

8. 形を整える

実は、表7-2-1で、複式簿記はほぼ完成しています。
表7-2-1に対して、次の呼び変えをするだけで、複式簿記になるのです。

  • 封筒→
  • 貯金箱→
  • 「入れた理由」や「出した形」→勘定科目
  • 説明→摘要



表7-2-1に対して上記の呼び変えを行った表8は、立派な複式簿記による仕訳帳と言えます。

表8. 仕訳帳
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付 摘要
勘定科目 金額 勘定科目 金額
11月19日 消耗品購入(文具) 消耗品費 500 現金 500
11月20日 参加費受け取り(3名分) 現金 3000 売上 3000
11月28日 会場費支払い 賃借料 800 現金 800
12月1日 預金から引き出し 現金 10000 預金 10000
12月2日 謝礼支払い 支払手数料 8000 現金 8000
12月3日 助成金 預金 5000 受取寄付金 5000
12月7日 消耗品購入(消しゴム) 消耗品費 100 預金 100
12月8日 消耗品購入(コピー用紙) 消耗品費 500 現金 500

長いことお疲れ様でした。以上で、複式簿記のまとめを終わりとします。

(次回予定)

次回は、『勘定科目』についてまとめようと思います。

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