NPO法人の会計について勉強を始めました。その4「お小遣い帳を複式簿記にグレードアップしよう (1/3) 」

今回は、「お小遣い帳」を複式簿記にグレードアップする手順についてまとめます。
複式簿記を付けられるようになれば、活動計算書や貸借対照表を楽に作れるようになります。
第1章から第8章まであり、大変長くなってしまったので、3回に分けることにしました。
そのため、複式簿記の話が次々回まで続きます。

(前回)

1. 出納帳を作る[1]

まず、簡単な方法で作った「お小遣い帳」を考えましょう。
お小遣いは「現金用の貯金箱」に入れてあり、その貯金箱にお小遣い帳を書いて管理することにします。
次の表は、とある団体が、講師を招き、公民館で市民向けのセミナーを開いた時のお小遣い帳です。
次のようなやりとりがありました。

  • コピー用紙や文具を使って、セミナーの広告を作った
  • 市民からセミナー参加費を受け取った
  • 公民館に会場費を支払った
  • 講師に謝礼金を支払った

ですから、貯金箱からお金を出すとき、および封筒に貯金箱にお金を入れる時だけ、(またその時は必ず、)このお小遣い帳を書き加えます。

表1. 現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付項目金額
繰延金650
11月19日消耗品購入(文具)-500
11月20日参加費受け取り(3名分)3,000
11月28日会場費支払い-800
12月1日預金から引き出し10,000
12月2日謝礼支払い-8,000
12月8日消耗品購入(コピー用紙)-500
 
 
合計3,850
残高
650
150
3,150
2,350
12,350
4,350
3,850
 
 

次期への繰延金: 3,850円

こうして出来上がるのが「現金出納帳」です。
ちなみに、もしこのお小遣いが「現金」ではなく、銀行に預けた「預金」だったならば、「預金出納帳」といいます。
また、この例のように金額欄が一列で、その値にマイナスがありうるものを「単式簿記」といいます。

2. 金額を2列に分ける[1]

前章の現金出納帳に対して、金額の列を収入金額と支出金額の2列に分けると、マイナスの金額がなくなるというメリットと、出て行ったお金と入ってきたお金のそれぞれの合計がわかるというメリットがあります。

表2. 現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付項目
繰延金650
11月19日消耗品購入(文具)500
11月20日参加費受け取り(3名分)3,000
11月28日会場費支払い800
12月1日預金から引き出し10,000
12月2日謝礼支払い8,000
12月8日消耗品購入(コピー用紙)500
 
 
合計13,6509,800
 残高
650
150
3,150
2,350
12,350
4,350
3,850
 
 

収支差額: 3,850円
次期への繰延金: 3,850円

3. 繰延金を収支差額から除外する[1]

繰延金は前期に余ったお小遣いであって、今期の収入ではありません。そこで、収支差額から除外する必要があります。

表3. 現金貯金箱
期間: 2022年11月19日~12月18日

日付理由
 
11月19日消耗品購入(文具)500
11月20日参加費受け取り(3名分)3,000
11月28日会場費支払い800
12月1日預金から引き出し10,000
12月2日謝礼支払い8,000
12月8日消耗品購入(コピー用紙)500
 
 
合計13,0009,800
 残高
650
150
3,150
2,350
12,350
4,350
3,850
 
 

収支差額: 3,200
前期からの繰延金: 650円
次期への繰延金: 3,850円

(次回)

次回は、第4章から第6章までを公開します。(2022年10月26日 18:00~公開予定)
複式簿記でよく聞く「借方」とか「貸方」という言葉を出さず、
代わりに「貯金箱」と「封筒」という考え方を用いてまとめました!

NPO法人の会計について勉強を始めました。その5「お小遣い帳を複式簿記にグレードアップしよう (2/3) 」
今回は、「お小遣い帳」を複式簿記にグレードアップする手順についてまとめます。 複式簿記を付けられるようになれば、活動計算書や貸借対照表を楽に作れるようになります

(参考)

[1]https://www.youtube.com/watch?v=Rz8Ptp11qP4

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